フィナンシャル・ウェルビーイング 年代別の3ステップアプローチ
フィナンシャル・ウェルビーイングを向上させるための年代別ヒント
20代
1. 貯蓄を始めましょう。 会社でキャリアを積み上げていく中で、勤務先の企業年金制度や退職金制度についてはしっかり確認しておきましょう。勤務先がなんらかの助成金を提供している場合には、是非利用しましょう。勤務先に企業年金制度がない場合でも、個人向けの退職準備制度を利用して、自分で資産形成をしていくことができます。これらの制度には税制優遇があります。公的年金や企業年金だけでは十分な老後資金を得られない場合もありますので、自分でも資産形成を行い、老後資金の貯蓄目標に到達するようにしましょう。
2. 負債を適切に処理しましょう。 20代ではクレジットカードと学生ローンという2つのローンを抱えている人が多いようです。返済計画を立て、返済のオプションを理解しておけば、ローンの処理が適切にできるでしょう。学生ローンの借り換えオプションがないかを確認しましょう。また、翌月に残高を全額払える場合のみクレジットカードを使用するようにします。それ以外の場合は、収入の範囲でやりくりできるようになるまで、現金払いを徹底してください。
3. 長期的な視点を持ちましょう。 お金にも増える機会を与えましょう。企業年金や個人年金で老後の資産形成を行う場合でも、または銀行口座で貯蓄をする場合でも、資産形成の期間とリスクを理解しておくことが重要です。貯蓄額を定期的に確認するとともに、目標到達のため、必要に応じて専門家に相談しましょう。
30代
1. 貯蓄目標を立てましょう。 貯蓄する理由はたくさんあります。結婚、住宅購入、子供を産んで家族を増やす、といったことを計画していたり、実行中の人もいるでしょう。中でも、老後の資産形成に本腰を入れることが重要です。目標額を定め、それに向けた計画を立てると、着実に資産を形成していくことができるでしょう。
2. 負債の管理と緊急時のための貯蓄をしましょう。 クレジットカードや他のローンがある場合は、最も金利が高いローンの返済を優先するようにし、最低支払額よりも多くを返済していくと、早く完済できます。こうして一度に1つずつローンを完済するようにして、負債をすべてなくしていくようにします(ただし、住宅ローンは完済まで時間がかかるかもしれません)。負債はこれ以上増やさないようにしましょう。また、3~6か月分の生活費に相当する金額を「緊急時のための資金(エマージェンシー・ファンド)」として貯めておく必要があります。
3. 将来のために貯蓄しましょう。 20代と同様に、長期的な視点で資産形成について考えてください。目標、リスク許容度、経済状態、タイムラインを確認の上、専門家と一緒に目標到達に向けた計画を立てましょう。
40代
1. 始めるのに遅すぎることはありません。 20代や30代は、結婚やお子様の誕生、住宅の購入など、一大イベントが目白押しでした。こうしたお金のかかるイベントをハンドルしながら、老後資金のようにはるか先のことを計画するのは至難の業ではあります。しかし、資産形成を始めるのに遅すぎるなんてことはありません。40代になっても、資産形成する時間は20年以上も残っています。ですから、できるだけ早く資産形成を開始し、お金が増える時間を作りましょう。
2. 大切なものを守りましょう。 適切な生命保険と所得補償保険に必ず加入してください。ご自身に万が一のことがあっても、生命保険があれば家族の収入減少分を補い、その他の出費もまかなうことができます。また、所得補償保険があれば、体が不自由になった場合でも、収入減少分を補ってくれます。
3. いざという時に備えましょう。 40代になったのであれば、遺言を書いたり、年金の受取人・遺産の相続人を明確にしておいてもいいでしょう。また、その他の資産の処分方法についても文書で指示しておくのもいいでしょう。
50代
1. 目標額に向けて資産形成を加速させましょう。 50代に突入したら、可能であれば、勤務先の企業年金制度への積立額を増やしてみましょう。ただし、税優遇を受けられる掛金には上限が設けられているかもしれませんので、注意してください。
2. 大切なものを守りましょう。 生命保険と所得補償保険に加入して、適正水準の保険金を準備しておく必要があります。また、民間の介護保険への加入も検討し始めると良いでしょう。
3. キャッシュフローを試算しましょう。 リタイア後にあなたの収入で生活できますか?まだ時間はありますから、予想される支出と収入を確認してみましょう。必要不可欠な支出と削ることができる支出を概算します。次に、公的年金、私的年金や個人の貯蓄から、どのくらいのお金がもらえるかを概算します。収支を比較し、それで何年生活できるかを計算しましょう。
60代
1. 老後資金計画の総まとめをしましょう。 貯蓄をどのように取り崩すのか、つまり毎月一定額を機械的に引き出すのか、利息と配当金のみを引き出すのか、まとまった金額を定期的に引き出すのか、といったことを決めます。年金など、必ず入ってくる収入は老後の必要不可欠な支出に当てます。退職年齢と平均余命をもとに、生きている間、貯蓄が尽きないようにするには、毎年どれくらいのお金を引き出していくのが妥当なのか、この割合を明確にします。
2. 公的年金の受給開始年齢を選択しましょう。 公的年金の受給開始年齢は慎重に決めましょう。受給開始年齢を繰り下げると年金額が増額されます。公的年金については、日本年金機構から送られてくる「ねんきん定期便」あるいは「ねんきんネット」で情報が得られますので、それらをよく読みましょう。まだ「ねんきん定期便」が送られてきていない場合は、日本年金機構に問い合わせましょう。
3. 遺産相続計画を完成させましょう。 遺産で揉めごとが起きないようにするために、最低限、遺言は作成しておきましょう。遺産相続計画と弁護士の委任状もあるといいでしょう。こうした準備があれば、ご自身が自分の健康や財産に関して意思表示ができなくなった場合に、第三者が代わりに執行してくれます。書類の作成に際しては、弁護士などの専門家と相談するのがよいでしょう。
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